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8つの事例から理解する「情報バリアフリー」の取り組み方

2026/04/28

情報バリアフリーKV

情報バリアフリーとは、障がいの有無や年齢、使用言語などにかかわらず、すべての人が必要な情報に平等にアクセスできる環境を整えることです。

「バリアフリー」というと建物の段差解消や車椅子対応をイメージしやすいですが、情報の受け取り方においても、視覚・聴覚・言語などさまざまな理由から情報にアクセスしにくい人が多く存在します。このような「情報的バリア」を取り除く取り組みが、情報バリアフリーです。

日本では高齢化の進展や在住外国人の増加、デジタル化の加速を背景に、情報バリアフリーへの対応が社会的な課題として広く認識されるようになっており、企業・自治体が媒体を問わずさまざまな取り組みを進めています。

2024年4月には障害者差別解消法の改正により、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されました。対応が遅れることは、法的なリスクにとどまらず、SNSや口コミを通じて企業イメージの低下につながる可能性もあります。

こうした点から、情報バリアフリーへの対応は、いまや一部の企業や団体だけの話ではなく、現代の企業・団体として求められる姿勢のひとつとして、避けては通れないテーマになっているのです。

本記事では、情報バリアフリーの具体的な取り組み事例から、求められる背景やメリット、そしてウェブサイトでの実践方法まで幅広く解説します。

企業や自治体における「情報バリアフリー」の8つの取り組み事例

まずは、テレビ放送・印刷物・ウェブ・窓口対応という4つの媒体において、実際に行われている情報バリアフリーの取り組み事例を紹介します。

テレビ放送

テレビは、スマートフォンやパソコンに不慣れな高齢者層にとっても日常的に使われる情報媒体です。テレビの特性を活かし、より多くの人に情報を届けるための取り組みが各地で進んでいます。

事例①北海道蘭越町:テレビ画面で行政・防災情報を届ける

北海道蘭越町は、HTB(北海道テレビ放送)およびジャパンケーブルキャストと連携し、テレビ画面を通じて住民向けの行政情報や防災情報を配信する仕組みを導入しています。

スマートフォンを使わない世帯や高齢者にも情報が届くよう、防災行政無線やIP告知端末を補完する手段として位置づけられています。

◆「テレビを活用した自治体情報配信サービス」蘭越町専用画面イメージ

「テレビを活用した自治体情報配信サービス」蘭越町専用画面イメージ

出典:北海道テレビ放送株式会社「北海道蘭越町で北海道テレビ放送とジャパンケーブルキャストが提供す『テレビを活用した自治体情報配信サービス』の運用を 2025 年 4 月から開始」(2025年3月26日)

事例②静岡市:データ放送(dボタン)で市政情報を届ける

静岡市は静岡朝日テレビと連携し、テレビのデータ放送を活用した「SATV自治体広報情報」を運用しています。

市政情報や観光・イベント情報をテレビ経由で届けることで、パソコンやスマートフォンを利用しない人にも情報が届きやすい環境を整えています。

出典:静岡市公式ホームページ「静岡市 SATV自治体広報情報

印刷物・文書

紙媒体による情報提供においても、受け取る側の状況に合わせた配慮が求められます。視覚に障がいのある方や、文字の読み取りに困難を抱える方に向けた情報バリアフリーの取り組みが広がっています。

事例③町田市:複数形式で提供する「情報バリアフリーハンドブック」

東京都町田市は、情報の入手に困難を感じている人への支援を目的とした「情報バリアフリーハンドブック」を作成しています。

2025年4月に改定版を公開し、通常のPDF版に加えて、点字版・DAISY版(音声デジタル図書)・テキストデータ版の3形式でも提供しています。また、スマートフォン・タブレット用アプリ「マチイロ」でも閲覧が可能になっています。

◆情報バリアフリーハンドブック

情報バリアフリーハンドブック

本ハンドブックは、視覚に障がいのある方が自分に合った形式で内容を受け取れるよう配慮されています。

出典:町田市ホームページ「情報バリアフリー~すべての人のための情報のユニバーサルデザインを目指して~

事例④株式会社イムラ:点字加工封筒

封筒の製造・販売において国内最大手の株式会社イムラは、エンボス加工技術を応用した点字刻印加工や、読み上げ装置と連動した音声コード(SPコード)加工を封筒などに施すサービスを提供しています。

点字加工により受け取る側が触覚で内容の概要を認識でき、音声コード加工により専用の読み上げ装置を使って印刷物の情報を音声で取得することが可能です。

◆バリアフリー対応の封筒

バリアフリー対応の封筒

情報を届ける「入口」の段階からバリアフリーに対応した製品として、視覚に障がいのある方への情報提供手段のひとつとなっています。

出典:イムラのサービスサイト【Rmitp】「社会貢献・バリアフリー

ウェブ・デジタル

現代において、ウェブサイトは情報インフラの中核を担っています。行政機関や民間企業が、障がいの有無や年齢に関わらず誰もが利用できるウェブ環境の整備に取り組んでいます。

事例⑤宮城県:震災を契機に進めたウェブアクセシビリティの継続的改善

宮城県は、東日本大震災を契機にウェブサイトでの広範な情報発信の重要性に着目し、2012年にアクセシビリティを重視したサイトリニューアルを実施しました。

翌2013年にはウェブアクセシビリティ方針を策定し、日本工業規格JIS X 8341-3:2016の等級AA準拠を目標として継続的な対応を進めています。

出典:宮城県公式ウェブサイト「宮城県公式ウェブサイト ウェブアクセシビリティ方針について

事例⑥三井住友銀行:大手行に先駆けたウェブアクセシビリティへの取り組み

三井住友銀行は2005年、大手行として初めて「Webアクセシビリティガイドライン」を策定・公開しました。視覚に障がいのある方が音声読み上げソフトを使って情報を取得できるよう、代替テキストの設定や見出し構造の整備などに対応しています。

現在は国際標準であるWCAG 2.1に基づく試験結果も公式サイト上で公開しています。

出典:三井住友銀行「SMBCのアクセシビリティ

事例⑦東芝テック:視覚に頼らずに操作できる複合機

東芝テック株式会社は、視覚を使わずにコピー操作ができる機能「e-BRIDGE Plus for Voice Guidance」を開発し、複合機の一部機種に搭載しています。

汎用スピーカーを接続することで音声ガイダンスが有効になり、タップ・ダブルタップ・スワイプの操作だけでコピー設定からスタートまでを完結できます。

◆「e-BRIDGE Plus for Voice Guidance」の操作画面

「e-BRIDGE Plus for Voice Guidance」の操作画面

2022年度グッドデザイン賞を受賞しており、総務省の「情報アクセシビリティ好事例2023」にも選定されています

出典:東芝テック株式会社「e-BRIDGE Plus for Voice Guidance

窓口・対面

対面での情報提供においても、移動の困難さや身体的な制約を補うための取り組みが生まれています。

事例⑧結城市役所:オンライン対面窓口による相談サービス

茨城県結城市は、自治体DXの推進を目的として、市内の各出張所にテレビ会議システムを活用したオンライン対面窓口を設置しています。

保険・福祉・子育てなど、電話では伝わりにくい申請書類の記入方法や手続きの説明を、本庁舎へ出向くことなく出張所からビデオ通話で受けられる仕組みです。

◆オンライン対面窓口を利用している様子

オンライン対面窓口を利用している様子

主目的は業務効率化ですが、移動が困難な高齢者や障がいのある方が出張所から必要な情報・説明を受けられる環境を整えるという点で、情報バリアフリーの実現にもつながっています。

出典:結城市 広報「2021年5月15日お知らせ版」、RILG 一般財団法人 地方自治研究機構

いま「情報バリアフリー」が求められていれる背景

ここでは、情報バリアフリーが社会的な課題として注目され始めた背景について解説いたします。日本では現在、高齢者の増加、障がいのある方の存在、外国籍の方の増加といった変化を受け、情報を受け取る側の多様性が急速に広がっています。

総務省の人口推計によると、2024年9月時点の65歳以上人口は3,625万人、高齢化率は29.3%と過去最高を更新しています。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2040年には34.8%に達する見込みです。

◆65歳以上人口及び割合の推移(1950年~2045年)

65歳以上人口及び割合の推移(1950年~2045年)

出典:総務省「統計トピックスNo.142 統計からみた我が国の高齢者 図1

加齢による視力・聴力の低下や認知機能の変化は、情報の受け取り方にも直接影響します。文字が読みにくい、音声が聞き取れない、複雑な操作が難しいといった状況は、すべて情報バリアです。

高齢化が進む日本において、情報バリアフリーへの対応はごく一部の人への配慮ではなく、社会全体に関わる課題となっています

また、内閣府「令和5年版障害者白書」によると、日本国内の障がい者数は身体障害者約436万人、知的障害者約109万4千人、精神障害者約614万8千人とされています。

引用:内閣府「令和5年版障害者白書

このような方々は、視覚・聴覚・認知などの特性に応じた情報提供がなければ、必要な情報に十分アクセスできない場合があります。事故や病気による一時的な状態変化なども含めれば、情報バリアは誰にとっても他人事ではありません。

行政手続きのオンライン化やウェブ上での情報配信が急速に進む一方で、ウェブサイトのアクセシビリティが不十分な場合、高齢者や障がいのある方が情報から取り残されるリスクも高まっています。

デジタル化の恩恵をすべての人が等しく受けるためには、情報を届ける手段そのものがバリアフリーであることが前提となります。

そして、法整備の動きも背景の一つです。障害者差別解消法の改正により、2024年4月からは民間事業者にも「合理的配慮の提供」が義務化されました。情報提供における障がいのある方への配慮は、企業・団体の法的義務として明確に位置づけられています。

これらの背景から、情報バリアフリーへの対応は、社会的な責任であると同時に、事業者として求められる対応の一つとなっているのです。

企業が「情報バリアフリー」に取り組む4つのメリット

ここでは、情報バリアフリーへの取り組みが組織や企業にもたらす具体的なメリットを紹介します。

メリット①より多くのユーザーに情報が届く

情報バリアフリーに対応することで、これまで情報を受け取りにくかった高齢者・障がいのある方・外国にルーツを持つ方など、幅広い層へのリーチが広がります。日本の高齢化率は年々上昇しており、障がいのある方も国内に数百万人規模で存在します。

このような方々が情報にアクセスできる環境を整えることは、潜在的な利用者・顧客層の拡大にも直接つながります。

メリット②サイト品質の向上とSEOへの好影響

ウェブサイトにおける情報バリアフリーの取り組みは、サイト全体の品質向上にもつながります。

画像への代替テキスト(altテキスト)の設定や見出し構造の整理、論理的なHTML構造の整備といった対応は、ウェブアクセシビリティの向上と同時に、検索エンジンがコンテンツを正確に読み取りやすくする効果もあります。

アクセシビリティ対応がGoogleの検索順位を直接引き上げるわけではありませんが、サイトの使いやすさや離脱率の改善を通じて、検索エンジンからの評価向上に間接的に寄与します

メリット③企業・団体の信頼性が向上する

誰もが情報にアクセスできる環境を整えていることは、企業・団体としての姿勢を対外的に示すことでもあります。高齢者や障がいのある方への配慮をウェブサイトや文書に反映することで、社会的責任への取り組みとして、利用者・顧客からの信頼性向上につながります。

特に近年では、ESG(環境・社会・ガバナンス)やダイバーシティ・インクルージョンへの取り組みが、企業評価の指標として注目されています。情報バリアフリーへの対応は、社会的包摂(インクルージョン)の実践として、投資家・取引先・求職者など幅広いステークホルダーからの評価にも影響する取り組みのひとつです。

このような観点からも、情報バリアフリーへの対応は単なるコストではなく、組織の価値を高める投資として捉える視点が広まっています。

参考記事:ESGとは「環境・社会・企業統治」に基づく経営や投資基準

メリット④法的リスクを回避できる

2024年4月の障害者差別解消法改正により、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されています。

情報バリアフリーへの対応が不十分な場合、障がいのある方から配慮を求められた際に適切に対応できないケースが生じる可能性があり、対応の不備はSNSや口コミを通じて企業イメージに影響するリスクもあります

法整備は今後さらに進む可能性があります。早い段階から対応を進めておくことは、将来的な対応コストを抑え、法令の変化にも柔軟に対応できる体制を整えるという意味でも、合理的な判断といえます。

ウェブサイトにおける「情報バリアフリー」

行政手続きのオンライン化やウェブを通じた情報発信が広がる中、ウェブサイトは情報インフラの中核的な役割を担っています。

しかし、ウェブサイトがアクセシビリティ(利用しやすさ・使いやすさ)に対応していなければ、高齢者や障がいのある方にとって情報の入口そのものが閉ざされてしまいます。

ウェブサイトにおける情報バリアフリーとは、このような状況を解消するための取り組みであり、具体的には「ウェブアクセシビリティ」という考え方につながっています。

ウェブアクセシビリティとは、障がいの有無や年齢、利用環境にかかわらず、すべての人がウェブサイトで提供される情報や機能を利用できる状態のことです。ウェブアクセシビリティへの対応として求められる内容は多岐にわたりますが、代表的なものとして以下が挙げられます。

◆ウェブアクセシビリティ対応の具体例

・画像に代替テキスト(altテキスト)を設定し、スクリーンリーダーで内容を読み上げられるようにする
・文字サイズの拡大や色のコントラスト比を確保し視認性を高める
・動画に字幕を付与する
・キーボードのみでサイト全体を操作できる構造にする

このような対応の積み重ねがウェブアクセシビリティ、つまりウェブサイトにおける情報バリアフリーの実践です。

なお、ウェブアクセシビリティの考え方や対応内容についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:サイト担当者が必ず実施すべきウェブアクセシビリティ対応とは?

ウェブアクセシビリティの対応基準は、国際的なウェブアクセシビリティ規格であるWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)をもとに定められていますが、日本国内ではJIS X 8341-3:2016がウェブアクセシビリティ規格として参照されています。

この規格には、適合レベル「A」「AA」「AAA」の3段階があり、総務省の「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)」では、国や地方公共団体などの公的機関に対して適合レベル「AA」への準拠が求められています

出典:総務省「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)

ウェブアクセシビリティへの対応が重要であることは広く認識されつつある一方で、実際の対応が十分に進んでいないウェブサイトは依然として多く存在します。

特に中小企業や団体にとっては、専門知識やコスト面でのハードルが対応を阻む要因になりやすい状況です。ウェブサイトにおける情報バリアフリーを実現するためには、このようなハードルを下げ、より手軽にウェブアクセシビリティ対応を進められる手段が求められています。

ウェブサイトの情報バリアフリーを低コストで手軽に実現する「ユニウェブ」

情報バリアフリーとは、障がいの有無や年齢、使用言語などにかかわらず、すべての人が必要な情報に平等にアクセスできる環境を整えることです。高齢化の進展やデジタル化の加速を背景に、テレビ・印刷物・ウェブ・窓口など、あらゆる媒体でその重要性が高まっています。

なかでも、ウェブサイトにおける情報バリアフリーは特に急務といえます。2024年4月の障害者差別解消法改正により民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化され、ウェブサイトのアクセシビリティ対応は企業・団体が取り組むべき課題として明確に位置づけられました。

しかし、実際にウェブアクセシビリティへの対応を進めようとすると、専門知識の習得や開発コスト、改修にかかる時間など、すぐには着手しにくいケースがほとんどです。

そのような課題を解決する手段のひとつが、弊社が提供するウェブアクセシビリティツール「ユニウェブ」です。

ユニウェブはウェブサイトにタグを1行追加するだけで導入でき、すべてのサイトにおいて、文字サイズの変更やコントラスト調整、読み上げ対応など30を超えるアクセシビリティ機能を訪問者がすぐに利用できる状態になります。

大規模な改修や専門知識がなくても、ウェブサイトにおける情報バリアフリーの取り組みを始められるのがユニウェブの特徴であり、最大のメリットです。

また、ウェブアクセシビリティの標準規格にアップデートがあった場合も、ユニウェブが自動で機能を追従するため、常に最新の規格に沿った対応を維持できます。

興味がある方は、本記事の右下に表示されている人型のアイコンから、ユニウェブの多彩なアクセシビリティ機能を実際にお試しいただけますので、まずはご自身で体験してみてください。

なお、本記事で解説した「情報バリアフリー」はバリアフリー全体の取り組みのひとつであり、バリアフリーには情報的バリア以外にも物理的・制度的・意識的なバリアが存在します。バリアフリーの考え方を体系的に理解したい方は、こちらの記事も参考にしてください

過去記事:バリアフリーの目的は「4種類のバリア(障壁)」をなくす事

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