ユニウェブ導入で実現するアクセシビリティ対応の新たな可能性。ハピネット社員インタビューから見えた現場の課題と解決策
2024/11/06
目次
これまでの経歴、現在の業務内容について教えてください。
児玉様:新卒でハピネットに入社し、まずコンビニ部門で14年間勤務しました。その後、おもちゃ部門に異動し、6年間経験を積みました。現在は、ハピネットオンラインにて2年目を迎え、EC業務に従事しています。
鬼頭様:大学卒業後、職業訓練校に通い、1年ほど機器を使った仕事の技術を学びました。その後、ハピネットに入社し、人材関連の業務に携わっています。従業員の健康診断の管理や支払い関連の業務を担当し、会社の人材サポートや経理的な業務をしています。
山之内様:高校を卒業後、マッサージ師の資格を取得し、ヘルスキーパーとして活動していました。しかし、事務職に転職したいと考えるようになり、音声読み上げソフトを使いながら事務職の勉強ができる学校に1年間通いスキルを身につけました。その後、2020年にハピネットに入社し、人事関連のデータ登録や支払申請業務を担当しています。
ウェブアクセシビリティについて知ったのはいつ頃ですか?
児玉様:昨年の7月頃に、ウェブアクセシビリティに関する情報を初めて知る機会がありました。それまであまり意識していなかった分野だったのですが、調べていく中でその重要性に気付かされました。特に、アクセシビリティを考慮したウェブサイトの設計が、より多くの人々に情報やサービスを提供するために不可欠であることを理解しました。また、そのタイミングで法改正が進んでいるという話も耳にしました。これにより、ウェブアクセシビリティへの対応が今後さらに求められるようになるということを知り、自分の取り組み方を考えるきっかけとなりました。
自社でのアクセシビリティ対応は検討しましたか?検討した場合、自社で対応しなかった理由はありますか?
児玉様:自社でのアクセシビリティ対応については一度検討しましたが、ウェブアクセシビリティの対応が非常に複雑であると感じたため、自社で全てをカバーするのは現実的ではないと判断しました。具体的には、アクセシビリティ基準に基づいてウェブサイトを調整・維持するためには、専門的な知識と継続的な取り組みが必要であり、そのリソースを社内で確保するのは難しいと考えました。また、ECbeing様が主催されたセミナーに参加した際、ユニウェブは「コード一行でアクセシビリティをサポートできる」という話を伺い、そのシンプルかつ効果的な解決策に非常に魅力を感じました。このため、外部ツールを導入する方が効率的で確実だと判断し、社内での対応は見送ることにしました。
ユニウェブを導入するにあたり、他社のアクセシビリティツールと比較・検討しましたか?
児玉様:他社のアクセシビリティツールとの比較は行いませんでした。理由としては、まず法改正が4月に予定されていたため、それまでに確実に対応を進める必要があると感じていたからです。さらに、社内においてもウェブアクセシビリティに関する知識や理解が十分でなかったため、その部分をしっかりと深める時間が必要だと考えました。限られた時間の中で社内の理解を強化し、早急に対応できる体制を整えることが最優先だと判断しました。
鬼頭様がユニウェブを使った感想を教えてください。
鬼頭様:私も症状からお伝えさせていただくと、視界の範囲が狭くなる視野狭窄(しやきょうさく)という症状を持っています。通常であれば見えるはずの周辺視野が失われ、視野が限定される状態です。普段、PCはマウスを使用して作業しており、拡大読書器を活用しています。
ユニウェブを初めて使用した感想をお話しすると、ワンクリック設定は、障害の種類ごとに設定が分かれており、ユーザーが自分の障害に当てはまる設定を簡単に選べる仕組みになっている点が非常に便利だと思いました。この機能により、ユーザーが特別なカスタマイズをしなくても、クリック一つで自分に適したアクセシビリティ設定を適用できるため、使い勝手が非常に良いと感じました。
しかし、例えば「運動障害」や「失読症」の設定を選択した際に、具体的にどの部分がどのように変化しているのかが視覚的に分かりにくいと感じる場面もあります。設定が反映された後に何が変わったのかを、ユーザーが一目で確認できるようなフィードバックや説明があると、さらに使いやすくなるのではないかと思います。特に、機能がどのように役立つかを理解することが難しい場合もあるため、視覚的またはテキストによる説明が加わると、より幅広いユーザーにとって利便性が向上すると思います。
山之内様がユニウェブを使った感想を教えてください。
山之内様:私の症状からお話しさせていただくと、視覚障害の一種である先天性の弱視です。弱視は、視力が低下し、通常の眼鏡やコンタクトレンズでは十分に矯正できません。具体的には、視野が狭くなる、ぼやけて見える、コントラストが低下して細かい部分が見えにくくなるといった症状が一般的です。また、光の感受性が強く、強い光で目がくらむことや、暗い場所での視力が低下する場合もあります。このため、日常生活において読み書きや物の認識、移動が困難になることがあります。
PCを使用する際には、画面読み上げソフトを使用し、画面上のテキストやリンクを音声で読み上げてくれるため、ウェブサイトの閲覧やドキュメントの読み取りなど、視覚に頼ることなく作業を進めることが可能です。
弱視の症状を持つ私が実際にユニウェブを初めて使用した際、非常に感動しました。細かい話で言うと、リーディングモードは特に印象的でした。情報がスリム化され、ユーザーが必要な情報にすぐにアクセスできるようになるため、視覚的に負担の少ない形でコンテンツを閲覧できるのが良いと思いました。また、キーワード検索やワンクリック設定といった機能が細かく分かれている点も便利だと感じました。これらの機能があることで、ユーザーが自分に最適な環境を簡単に設定でき、全体的な使い勝手が大幅に向上していると感じています。
ただ、細かい部分ですが、検索ウィンドウや検索機能が追加されれば、より効率的に必要な情報にたどり着けるのではないかと思います。特に、多くのページやセクションを持つサイトでは、検索機能があることでユーザーが目指している特定のコンテンツを迅速に見つけやすくなり、さらに使いやすさが向上するのではないかと考えています。リーディングモードの情報整理機能と検索ウィンドウが組み合わされることで、アクセシビリティが一段と強化され、幅広いユーザーにとって使いやすいツールになると思います。
視覚障害を持つ鬼頭様、山之内様が日常生活で困ることはありますか?
鬼頭様:普段、スマートフォンを使用する際には文字を大きくする機能があれば十分に対応できています。特にiPhoneでは、設定で文字サイズを拡大するだけで、日常的な操作や閲覧には支障がなく、視覚的に必要な情報を得ることができるため、問題なく使えています。
ただ、広告が表示された際に、広告の閉じるボタン(×マーク)を見つけるのに苦労することがよくあります。広告の閉じるボタンは小さくて目立たない場所にあることが多く、視覚的に探すのが難しいため、誤操作につながることがあります。iPhoneではアクセシビリティ機能の一つである「ズーム機能」を使い、3本指で画面をタッチして拡大することでボタンを確認し消すことができるのですが、細かい操作が求められるため、うっかり別のリンクを押してしまうこともあります。その結果、意図しないページに移動してしまうなど、使い勝手に少し困ることがあります。
山之内様:日常生活では、特に細かい文字や遠くの物を確認するのが難しいことが多く、視覚的な情報に頼る場面で不便を感じることが多いです。
例えば、タブレット端末を使って注文する飲食店では、画面上の文字や画像が小さくて見えにくいため、注文がスムーズにできず、ストレスを感じます。そのため、タブレット端末を使って注文する形式の飲食店は避けることが多いです。注文する際に視覚的なサポートが不足していると、何を選んでいるか確信が持てず、誤った注文をしてしまうこともあります。
また、コンビニエンスストアでの買い物でも困難を感じることがよくあります。おにぎりやパスタなどの商品は、パッケージに記載されている味や種類の文字が小さく、視覚的に確認するのが難しいため、何の味なのかを把握せずに購入してしまうことが少なくありません。結果的に、自分の好みでないものを選んでしまうことも多く、視覚に頼らない買い物は課題となっています。
今後、目指していることはありますか?
児玉様:当初は、JIS規格に準拠した方法でウェブアクセシビリティ対応を進めることを考えていました。JIS規格は日本国内で定められたアクセシビリティの基準であり、これに従うことで一定の品質が確保できると考えていました。しかし、ユニウェブを導入することで、基準はクリアしているものの、実際にどこまで具体的に対応できているのかを改めて確認したいという気持ちが強くなりました。特に、ユニウェブの導入後にどの程度ユーザーにとって効果的なサポートが提供できているのかを測定し、検証することが重要だと感じています。
また、今回のインタビューを通じて、障害を持つ方々の実際の声を直接聞く機会を得たことで、理論や基準だけではカバーしきれない実際の使い勝手や課題を知ることができました。この経験を踏まえ、今後はさらに当事者の方々に実際に利用していただき、フィードバックをもらいながら、サービスの改善を進めていきたいと考えています。ユーザーの意見を取り入れることで、より実用的で効果的なアクセシビリティ対応を目指していきたいと思います。
株式会社ハピネット
設立:1969年6月7日
代表者:代表取締役会長兼最高経営責任者 苗手 一彦
代表取締役社長兼最高執行責任者 榎本 誠一
所在地:東京都台東区駒形二丁目4番5号 駒形CAビル
URL:https://www.happinet.co.jp/company/outline.html
事業内容:
- 玩具・遊戯用具の企画・製造・販売
- 映像・音楽ソフト等の企画・製作・販売
- ビデオゲームハード・ソフト等の企画・制作・販売
- 玩具自動販売機の設置・運営
- アミューズメント施設用商品等の販売
株式会社ハピネット
情報システム室 EC運営部 EC企画チーム リーダー
児玉 圭一郎
新卒でハピネットに入社し、コンビニ部門で13年間勤務後、おもちゃ部門に異動。現在は、ハピネットオンラインにて4年目を迎え、EC業務に従事。
株式会社ハピネット
経営本部 総務部 業務サポートチーム
鬼頭 勇輝
大学卒業後、職業訓練校に通い、1年ほど機器を使った仕事の技術を学ぶ。その後、ハピネットに入社し、従業員の健康診断の管理や支払い関連の業務を担当。
株式会社ハピネット
経営本部 総務部 業務サポートチーム
山之内 雄介
高校を卒業後、マッサージ師の資格を取得し、ヘルスキーパーとして活動。その後、音声読み上げソフトを使いながら事務職の勉強ができる学校に1年間通い、2020年にハピネットに入社。人事関連のデータ登録や支払申請業務を担当。
《ユニウェブ導入サイト》
株式会社ハピネットが運営するハピネットオンライン、ブロッコリーオンラインにユニウェブが導入されています。
ハピネットオンライン
アイコンをクリックすると、アクセシビリティメニューが表示され、文字を読み上げてくれる部分リーダーや画面のコントラスト切り替えなどがボタン1つで可能となっております。
ハピネットオンライン
ユニウェブについて
ユニウェブは、すべてのウェブサービスにコード一行を追加するだけで「導入当日」にウェブアクセシビリティ機能を提供します。
すべての人に平等なウェブサイト・サービスを目指すために、視覚に障害がある人、怪我をして一時的に手が使えなくなった人など、様々な状況にいる利用者が音声読み上げやコントラスト変更などの多様な使い方を通じて、正しい情報を理解できる状態にしたいと考えています。