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障害者週間とは障がい者に対する理解と共感を深める1週間

2024/07/23

障害者週間

「障害者週間」とは、毎年12月3日から12月9日までの1週間、国や地方公共団体などが中心となって障害者福祉に対する意識啓発のための様々な取り組みを実施する期間です。

障害者週間という言葉を初めて聞いた方も多いはずです。事実として、現状は障害者週間の認知度は3割程度しかありません。しかし、障害者差別解消法の改正により、合理的配慮の提供が義務付けられた現在においては、障害者週間は、企業が合理的配慮を実践していくために障がいに対する理解と共感を深める貴重な1週間として非常に重要性が高まっています。

本記事では、障害者週間についての解説とともに、障害者週間における行政機関のイベントや、企業が実際に取り組んでいる事例について紹介してまいります。

障害者週間とは障がい者に対する理解と共感を深める期間

内閣府によると、障害者週間について下記のように記載されています。

「障害者週間」は、平成16年6月の障害者基本法の改正により、国民の間に広く障害者の福祉についての関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めることを目的として、従来の「障害者の日」(12月9日)に代わるものとして設定されました。
「障害者週間」の期間は、毎年12月3日から12月9日までの1週間です。この期間を中心に、国、地方公共団体、関係団体等においては、様々な意識啓発に係る取組を展開します。
引用:障害者週間とは(内閣府)

もともと「障害者の権利宣言」が国連総会で採択された日である12月9日を「障害者の日」として記念日的位置付けで定めていましたが、これに代わるものとして、障がい者への理解の促進と、より積極的な社会・経済・文化への参加機会のため、国際障害者デーである12月3日を起点とした12月9日までの1週間を「障害者週間」と定め、国や地方公共団体、関係団体、あるいは企業などは障がい者への意識啓発の機会として様々なイベントや取り組みを行っています。

「障害者の日」として1日だけだったものが「障害者週間」として1週間という期間に拡大されたことで、期間中に開催されるイベントやプログラムを通じて障がいに関する問題や課題について多角的に取り組むことができますし、より多くの人々に認知され、関心を持ってもらう機会が増えることが期待されています。

特に、国際的な共通課題としてダイバーシティやSDGsの推進が求められる昨今においては、日本国内でも企業や個人が障がいに対する理解と共感を深め、合理的な配慮の提供を進めていかなければいけません。障害者週間には様々な体験や講演が催されているため、障がい者のリアルな声を聞き、社会の実態を知る重要な期間なのです。

障害者週間における行政機関の関連イベント

障害者週間では、全国で様々なイベントが開催されています。下記表は、令和5年度(2023年)の行政機関による開催実績として、政府と地方自治体に分けてそれぞれ一部抜粋したものです。

◆令和5年度の政府の開催行事一覧(一部)

省庁 イベント名 開催内容
内閣府 「障害者週間」ワークショップ 体験をテーマに障害の特性を知っていただくための、パラスポーツを中心とした様々なワークショップを各団体と連携し開催。参加は無料。
「障害者週間」オンラインセミナー 障害及び障害のある人に関する理解を促進するため、オンライン配信により、障害者週間の趣旨にふさわしいセミナーを各団体と連携し開催。誰でも無料で視聴可能。
法務省 ボッチャ体験・白杖体験教室 障害者スポーツ体験(ボッチャ)及びアイマスク白杖体験を実施。
金融庁 金融サービスにおけるウェブアクセシビリティ勉強会 2024年4月から事業者等による障がい者への合理的配慮が義務化されることを受け、社会全体でより一層アクセシビリティ推進に取り組んでいくことを目指して、(特に金融サービスにおける)ウェブアクセシビリティ概念についての理解を目的とした勉強会を開催。
外務省 ユニバーサルスポーツフェスティバル2023 ユニバーサルスポーツは、年齢、性別、障害の有無などに関係なく、すべての人々が平等に参加できるスポーツである。本フェスティバルでは参加者全員が様々な違いを超えて「ユニバーサルスポーツ」を楽しく体験することを通じ、インクルーシブな地域社会作りへ貢献する。(競技内容:風船バレー、卓球バレー、ボッチャ)
文部科学省 令和5年度 障害者差別解消法に関 する理解・啓発セミナー(基礎編/実践編) 2024年4月1日「改正障害者差別解消法」施行に伴い、民間事業者へも合理的配慮の提供が法的義務となる。本セミナーは、高等教育機関全体で同法の合理的配慮の提供について理解を深め、障害学生・生徒支援の底上げを目的とする。
本セミナーの基礎編は、障害者差別解消法に関する基本的事項の理解・啓発を中心としたプログラムで実施。
実践編では、基礎編の内容を前提として、専修学校(専門課程)、大学、短期大学、高等専門学校の教職員を対象として定員を50名程度で、紛争の防止・解決等の事例に関するグループディスカッションを中心とした対面でのセミナーを実施。
文化庁 「CONNECT⇄ ~アートでうずうずつながる世界~」 アートを通して、多様性や共生社会のありかたについて、障害のある方もない方も共に考え、語り合い、実践するプロジェクトである。「障害者週間」に合わせて、京都国立近代美術館など京都市岡崎公園内の6つの文化施設において、様々な文化芸術プログラムを実施。
厚生労働省 令和5年度 障害者週間記念事業 ボランティア等の活動を長年継続して活動している方に対して感謝状を授与しウェブ上で公表する。
農林水産省 農福連携フォーラム 障害者の就労の場の創出等に資する取組である農福連携について、全国8都市において地域ごとの取組事業者の講演やパネルディスカッションを踏まえ、地域資源を活用した農福連携の魅力について学ぶフォーラムを開催。
経済産業省 支援学校の学生を対象とした就労体験(シチズン時計株式会社) 支援学校の学生を現場部門で受け入れ、実際に企業へ就職した際に行う業務の体験を行い、仕事をする上で求められるスキルや知識について学ぶ機会を提供。
中小企業庁 第22回 障害者問題全国交流会 in 愛知 ① 人を生かす経営の実践で「幸せの見える共生社会の実現」を目指す取り組みについて学びあう。
② 障害者問題および障害者雇用について関心を深める。
③ 全国各地の同友会に障害者問題の取組みの輪を広げる。

出典:令和5年度「障害者週間」(内閣府)令和5年度 「障害者週間」関連行事(予定)【関係機関・団体 主催行事】

政府においては、このように各省庁ごとに、民間企業の協力も得ながら様々なイベントを実施しています。特に2023年は、2024年4月の障害者差別解消法の改正法施行により、企業における合理的配慮の提供の義務化を控えて、関連セミナーや勉強会の開催もありました。

下記は、地方自治体によるイベント一覧の一部です。

◆令和5年度の地方自治体の開催行事一覧(一部)

都道府県・指定都市 イベント名 開催内容
宮城県 「障害者による書道・写真全国コンテスト」宮城県大会 障害者の文化・芸術活動の促進と、障害者週間における啓発活動の一環として、公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会が主催する「障害者による書道・写真全国コンテスト」の宮城県予選会を兼ねて開催。
秋田県 第23回 心いきいき芸術・文化祭 障害者芸術福祉展の開催(絵画・工芸等の作品展示と表彰。終了後にウェブによる作品公開及び入賞作品を県庁にて展示)、いきいきマルシェ(障害者事業所等で製作した物品等の販売)、パフォーマンスステージ(障害のある個人または団体が音楽やダンスを披露)、障害に関わる講演や体験会の開催。
山形県 県知事と障がい者代表との懇談会 障がい者の生活実態や課題などを県知事に理解してもらい、県障がい者福祉行政に反映いただくために懇談会を開催。
福島県 第71回 福島県身体障がい者福祉大会 第1部 講演会
第2部 式典(福島県身体障がい者福祉協会会長表彰、感謝状の贈呈、大会宣言、大会決議)
札幌市 Our Fes‼ SAPPORO2023 今年はカナモトホールで会いましょう! 障がい当事者などによる、文化・芸術のステージ発表や講演を開催。
仙台市 コンサート(宮城野、若林、太白)、七宝焼を作ろう(宮城野)、書道楽教室(若林)、パペット人形を作ろう(太白) 障がい当事者による演奏、障害者理解啓発のための催し
千葉県 第55回 千葉県身体障害者福祉大会 千葉県社会福祉事業功労知事表彰、千葉県身体障害者福祉協会理事長表彰及び心の輪を広げる体験作文・障害者週間ポスターの優秀作品に知事表彰、理事長表彰を授与。
東京都 障害者週間広報啓発事業及び障害者法律・福祉特別相談事業 東京都障害者美術展に応募があった図案の中からポスターを4,960枚作成、標語を募集し交通公共機構、小中学校等へ掲出。法律相談は弁護士が担当し、電話相談を受ける。
横浜市 創ろうみんなで共に生きる社会を 障害者週間特別講演(講師/山根則子)とレ・フレールピアノ連弾コンサート
山梨県 第34回 障害者の主張大会 「障害」及び「障がい者」への理解を深めること等を目的に、障がい者本人が日常生活の中で考えていることを発表(当日はウェブで同時配信を実施)
静岡市 啓発品の配布(テイッシュ・ファイル) 一般市民への啓発事業、テイッシュ500、ファイル200配布
福井県 第24回 福井県障がい者ハートフル文化祭 ① 作品展
② ステージ発表
③ 販売コーナー(障がい者団体・施設・特別支援学校などで制作したパン・手工芸品等を販売) 障がいのある方が芸術文化活動をとおして、生きがいや自信を創出し、社会参加を促進するとともに、障がいに対する県民の理解と認識を深めることを目的とする。
岐阜県 障害者週間に係わる街頭啓発 「岐阜県障害のある人もない人も共に生きる清流の国づくり条例」の趣旨を踏まえ、県民の障がいのある人に対する理解を深めるため、障害者週間(12月3日~9日)に合わせ、県内各地で街頭啓発を実施。
三重県 令和5年度三重県障がい者芸術文化祭 芸術文化活動を通じた障がい者の社会参加を促進し、地域における障がい者の多様な活躍の場を広げるため、表現活動を行う発表の機会を創出する。作品展:絵画、写真、書道、陶芸、手芸、工芸、貼り絵・CG、俳句の展示、ステージ発表:音楽(歌唱・楽器)、演劇、ダンス等
名古屋市 障害者週間記念のつどい 映画「ツレがうつになりまして」上映(字幕・シーンボイス付き)、脚本家青島武講演会
滋賀県 障害者週間啓発・推進事業【街頭啓発】 「障害者週間」「滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例」を啓発するポケットティッシュとのぼり旗の掲示による街頭啓発。
京都府 第24回 京都府障害者のつどい 京都府内の障害者及び関係者等が一堂に集い、障害者の自立と社会参加を推進し、障害者福祉の推進を図るとともに、広く府民へ障害についての理解と関心を深め、府内各地域等における「障害者週間」の啓発活動を一層強化することを目的として、毎年開催。府身連会長表彰や体験発表、踊りなどのステージ発表を実施。参加者約400名
兵庫県 障害者フェスティバル 障がい者への理解啓発をテーマに、よさこい等のステージ発表と講演等イベント
大阪市 大阪市街頭キャラバン ① 大阪市役所を表敬訪問した後、街宣車により市内各所を巡回して障がい者週間を啓発します。
② 市内の主要箇所で啓発グッズを配布し、街頭において市民に障がい者に対する理解を呼びかけます。
神戸市 神戸市身体障害者福祉大会70周年記念大会 市内の障害者が集まり、福祉の向上を訴える。また記念大会として講演会を実施。
鳥取県 第63回 鳥取県身体障がい者福祉大会 式典、県協会長表彰、講演、議事
徳島県 第42回 徳島県身体障害者福祉大会 徳島県で障がいの有無や種別を越え、すべての人が住みなれた地域社会の中で安心して暮らせる「ユニバーサルとくしま」の実現を目指すことを趣旨とした大会で、身体障がい者の福祉向上につくした人に、感謝の意をこめてこれまでの功を称え、表彰式を執り行う。
福岡県 福岡県障害者週間啓発事業 障がい者の福祉についての関心と理解を深めるとともに、障がい者が社会・経済・文化、その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めることを目的とした障害者週間を周知啓発するため、障がいのある人とない人の相互交流を図り、障害福祉に対する県民の理解と認識を深める事業を実施。
長崎県 県内市町長への要望活動 県内市町長へ要望書を提出
宮崎県 “こころ”のふれあうフェスタ2023、障害者週間啓発活動 (フェスタ) 講演会、障がいのある方のステージ発表、障害者週間作文及びポスター表彰式、啓発チラシ・啓発物・障害福祉施設製作物の配布(啓発活動)啓発チラシ・啓発物・障害福祉施設製作物の配布。
沖縄県 第56回 沖縄県身体障害者福祉大会 県内の身体障がい者及び関係者等が一堂に会し、身体障がい者及び関係施策の一層の向上と障がい者施策の具体的な推進を図る。
北九州市 第16回 北九州市障害者芸術祭作品展 「よろこびの日」をテーマに、絵画、書道、写真、工芸、手芸等の力作を会場いっぱいに展示。
福岡市 令和5年度 障がい者週間記念の集い ステージで、ゲストのライブショー、当事者団体のトークリレー他。また相談コーナーや、啓発活動も実施。

出典:社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会

このように、各都道府県や都市で様々なイベント・活動を開催しております。上記に記載した内容はあくまで一部です。出典元では、ここに記載されていない行事もたくさん紹介されていますので、ぜひご覧ください

このほか、政府では障害者週間に向けて毎年「心の輪を広げる体験作文」と「障害者週間のポスター」を募集しています。各入賞作品は、作品集や内閣府ホームページ、障害者白書等に掲載され、全国的な啓発広報に活用されます。

◆令和5年度「障害者週間」広報用ポスター

令和5年度「障害者週間」広報用ポスター

出典:障害者週間/「障害者週間」広報ポスター(内閣府)

では次に、企業の取り組み事例を紹介してまいります。

障害者週間における企業の取り組み事例5選

前項では、全国の行政機関の取り組みについて紹介しましたが、ここでは障害者週間において民間企業が取り組んでいる事例を5つ紹介します。

事例① 株式会社三省堂書店:関連書籍のブックフェアを開催

株式会社三省堂書店では、北海道内の店舗(札幌店・留萌ブックセンター・函館営業所河原店)において、毎年の障害者週間の期間中に「障がい者理解促進ブックフェア」を開催しており、店舗内に障がい福祉について理解を深める書籍を集めた特設コーナーを設置しています。

障害についての書籍といっても、専門書から体験記、マンガまで幅広いジャンルが集められているため、幅広い年齢層に対して障害に対する理解を深めるきっかけを作っています。

参考:障がい者理解促進ブックフェア(北海道公式ホームページ)

事例② Indeed Japan株式会社:障害者雇用を支援する特設サイトを開設

求人検索エンジン「Indeed (インディード)」は、もともと企業の障害者雇用の促進を支援しており、様々な取り組みを実施しています。同社は、米国の「障害平等指数(Disability Equality Index)」においては、最高スコアである100%を3年連続で獲得しています。

Indeedの日本法人であるIndeed Japan株式会社では、2022年の障害者週間に合わせて、採用担当者向けの情報発信サイト「/LEAD(スラッシュリード)」にて、企業の障害者雇用の取り組みを支援する特集ページを開設し、障がいをもつ方や多様な脳の働きをもつ「ニューロダイバージェント」の方の雇用支援につながる情報を発信しており、障害者雇用を検討する企業担当者の貴重な情報源となっています。

参考:【特集】障害者雇用とダイバーシティ推進を理解しよう。いま企業ができることとは?(/LEAD)

事例③ 明治ホールディングス株式会社:社内における相互理解の推進

明治ホールディングス株式会社は、多様な人々を受け入れ、みんなが活躍できる環境を作る「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)」の推進に注力しており、日頃から社員に対するeラーニングの実施や、有志社員によるボトムアップ活動が行われています。

障害者週間には、障がい者に対する基礎知識セミナーやアスリートによるセミナーの開催や、障がい当事者や支援者が伝えたい思いをカルタにして 全事業所に掲示したり、また障がいを持つ社員のインタビュー動画を公開するなどして、各社員の相互理解を深め、働きやすい環境を整えています。

また、障害者週間に合わせたものではありませんが、同社ならではの取り組みとして、meijiの冬季限定商品「Meltykiss(メルティーキッス)」のパッケージを、色覚に障害を持つ方が包装の絵柄を見て風味がわかりやすいように改良するなど、企業全体がバリアフリーに対する積極的な姿勢を見せています。

参考:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進(明治ホールディングス株式会社)

事例④ 東京弁護士会:無料相談の実施

東京弁護士会では障害者週間の期間中の所定の日程にて、障がいを持つ方やその家族、支援者からの相談に弁護士が無料で応じる「障害者の人権110番」を実施しています。

「障がいを持つわが子が施設で虐待を受けているかもしれない」
「職場で自分の障がいに対する配慮を拒否された」

など、施設・職場での問題や福祉制度の問題、人権問題などについて、電話やFAXで気軽に相談することが可能です。

参考:「障害者の人権110番」(東京弁護士会)

事例⑤ NTTLS株式会社:VRによる視覚障害の擬似体験

NTTグループ企業向けの社員研修および教育、教材の企画・制作などを行う「NTTラーニングシステム(NTTLS)株式会社」は、障害者支援サービスを運営する「株式会社ミライロ」と共同で、VRを活用して様々な視覚障がい・特性を持つ当事者の感覚を体験できるイベントを2020年に開催。「健常者ができる配慮とは何か」について考えるワークショップを実施しました。

VRによる擬似体験では、視野障がい(視野狭窄・中心暗転)、色覚障がい、光覚障がいについて、それぞれ普段の風景がどのような見え方をしているかがわかります。障がい者と就業するメンバーが事前に視覚障がい者の視点を体感することで、当事者の立場に立って具体的にどのようなことに配慮をすべきかを考えるきっかけになりました。

参考:NTTLS、VRでさまざまな視覚障害を体験できるイベントを12月4日に開催(ICT教育ニュース)

現状として障害者週間の認知度は低い

ここまでに紹介したように、全国各地で様々な取り組みが行われている障害者週間ですが、一方では国民の障害者週間に対する認知が広がっていないのが現状です。この現状についてのデータを内閣府の資料より引用しましたので、下記をご覧ください。

◆障害者週間の周知度

障害者週間の周知度

平成19年、24年、29年の周知度調査では、障害者週間を知らない人の割合が7割以上であり、その状況に大きな変化はありません。

では、近年の状況はどうでしょうか。

◆令和4年11月時点での障害者週間の周知度

知っている(小計) 29.1%
・月日も含めて知っている 1.3%
・月日までは知らないが、「障害者週間」があることは知っている 27.8%
知らない 69.9%

年齢別周知度

やや知られてきてはいますが、知らない人の割合は依然として約7割もあり、認知度が高まったとは言えない状況です。特に高齢者にはある程度周知されているものの、10代〜40代の若年〜中年層に知られていないことがわかります。

そして、どのようにして障害者週間を知ったかについて、下記のグラフに示されています。

◆障害者週間を何で知ったか

障害者週間を何で知ったか

圧倒的にテレビ、ラジオ、新聞といったメディアの割合が多いことがわかります。これらのデータから考えると、近年の若年層の4大マスメディア離れを鑑みて、このままの状況では障害者週間の認知度が大きく高まることは難しいでしょう。若年〜中年層の情報収集は、今やウェブが中心です。国や自治体は、YouTubeやX、LINEなどのSNSを積極的に活用して、オンライン上での周知に注力すべきだと筆者は考えます。

表グラフの出典元:「障害者に関する世論調査」の概要 (令和5年2月報告/内閣府政府広報室)

まとめ

障害者差別解消法が改正され、2024年4月より民間企業においても合理的配慮の提供が法的義務と定められたことで、障がい者に対する正しい理解と不自由のない社会参加のための配慮がすべての企業に求められています。しかし、特に知見がなく自社が何をすべきかわからない状況にある企業も多いはずです。そのような企業や事業者は、まずは当事者の声を聞き、現状を理解することが第一歩として必要です。

障害者週間は、障がいを持つ方や多様な価値観を持つ方のリアルな声を聞き、理解を促進して、何が必要なのか?どう配慮すべきか?を考える貴重な1週間です。

残念ながら未だ認知が進んでいないのが現状ですが、多様性が求められる昨今において、このような機会はニーズとして増えていくはずですし、企業や個人としても積極的に周知をして、より活発な取り組みを行なっていくべきなのです。

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